鹿児島放送番組審議会

第342回 2016年9月15日

鹿児島放送の番組審議会は、志學館大学教授で鹿児島県立図書館長の原口泉さんを委員長に
県内の有識者8人で構成され、放送番組の向上をめざして意見を交わしています。
今回は、「テレビ朝日系列の報道について思うこと・望むこと」について審議しました。
主な討議内容は次の通りです。

『テレビ朝日系列の報道について思うこと・望むこと』

  1. ニュースの映像や情報は、生活していくうえで必要な知識や情報でなければならない。キャスターやアナウンサーのコメント、意見は事実や情報の裏付けをおさえたうえで、かつコメントの内容には公平性と自由な観点、ものの考え方を期待したい。
  2. 「報道ステーション」は、古舘伊知郎さんがキャスターを降りてから、持ち前のとげとげしさがなくなった。視聴者には、ワクワクドキドキ感がなくなり、物足りなく映るかもしれない。多数与党の時代だからこそ、ジャーナリズムは権力監視の面で勝負しなければならないと思う。
  3. 熊本地震の報道では、各局すべてが同じ崩壊建物や避難所を放送していた。他方、地元銀行のホームページによれば、ほぼ数日のうちにほとんどの支店が営業を始め、市電なども数日で復旧したという。他地域・他県の視聴者には、熊本地震の被害の全容がいつまでもよくわからなかった。被害が総合的総括的にわかる報道に努めてほしい。
  4. 事件報道では、被害者の職業・氏名・年齢等が伝えられ、その人の家族構成やひととなり、家族のインタビューなど非常に長い時間をかけて放送される。報道をもとに、ネットなどで個人のプライバシーが拡散する恐れもあり、被害者のみならず加害者家族のプライバシーについても配慮し、なにを報道すべきか、しっかりと検討してほしい。
  5. もっと地域の情報を東京から発信してほしい。地方でもすぐれたドキュメンタリー番組がつくられているのに、制作した地域でしか見ることができない。クオリティーの高い番組が、視聴者の目に触れる機会をつくることで、テレビの信頼度も高まる。どのチャンネルをつけても同じタレントが出ている、という現状からも脱却してほしい。
  6. どこの局のニュースを見ても類似的な報道と解説が目立つ。芸能ニュースでは、特定の人物について、彼/彼女の一度の失敗をこぞって攻撃する風潮がある。例えば有名人の失敗についても、(その内容にもよるかもしれないが)一度は許容する寛容さと、その失敗を発生させた社会的要因を問題視して考える番組を作ってほしい。我々の思考に大きな影響力を与えるテレビから、自然と「対話」の感覚が広がることを期待する。
以上のような感想や意見、要望が出されました。
鹿児島放送はこれらの声を真剣に受け止め、今後の番組制作や放送活動に生かしていきます。
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