焼酎「夢一」とともに続く、山崎さんの旅。
次は、三十六代木村庄之助を襲名したときに、軍配を作ってくれた人を訪ねます。
長年愛用した軍配が、作り手のもとへ初めての里帰り。
そして、山崎さんの夢の続きにつながる何かが、この旅で見つかるのでしょうか?
思いをはせながら、次の目的地は新潟県北部、日本海に面する村上市です。
村上市は漆器のまち。
彫刻が施された木に何層もの漆を塗り重ねて作られる「村上木彫堆朱」は
国の伝統工芸品にも指定されています。
「村上木彫堆朱」の基礎は江戸時代に生み出され、その技法は
ほとんど変わることなく現代の職人へと受け継がれています。
山崎さんの軍配を作った鈴木正さんもその1人です。
鈴木さんのお店を訪ねました。
木村庄之助の軍配が、初めて作り手のもとに帰ります。
まるで我が子のように軍配を見つめる鈴木さん。
手がけた作品を再び手にした喜びが、柔らかな笑顔に現れています。
「軍配は自分の分身、魂」と語る山崎さんにとっても、
鈴木さんと再会できた喜びはひとしお。話が尽きることはありません。
続いて、鈴木さんの仕事を見せてもらいました。
一般的な「村上木彫堆朱」は3部門の職人が一つの作品を作り上げますが、
鈴木さんは彫りも塗りもたった一人で仕上げます。
作業中の鈴木さんはまるで別人。
自分の道をただひたすら進む、職人の顔です。
いよいよ、焼酎「夢一」を手渡します。
しかし鈴木さん、実は薩摩焼酎を飲んだことがありません。
日本酒文化の新潟で、果たして受け入れてもらえるのでしょうか?
大相撲の立行司と一流の伝統工芸士の絆を深めた焼酎「夢一」。
そして、すべてのきっかけとなった軍配。
土俵上での役目は終えましたが、三十六代木村庄之助の魂は
まだここに宿っています。
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