南海トラフ 新たな被害想定 「備えを見直すきっかけに」 鹿児島県
想定される南海トラフ巨大地震について国の検討会は新たな被害想定をまとめました。全体の死者は最大29万人あまりです。
県内では、最悪の想定で屋久島町と西之表市、肝付町の1市2町で10メートルを超える津波が押し寄せ、死者は最大で1400人に上る見込みです。
●南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループ 福和伸夫主査
「この被害の甚大さとか、あるいは広域性を踏まえますと従来の国や地方公共団体、行政主体による対策だけではどう考えても限界がございます」
国の検討会は2014年にまとめた「南海トラフ地震防災対策推進基本計画」から10年が経つことを受けて新たな被害想定をまとめました。
それによりますと、高知県の室戸岬沖と宮崎県の日向灘に大きな断層のすべりが発生するなどした場合、
▼屋久島町で最大13メートル
▼西之表市で最大11メートル
▼肝付町で最大10メートルの津波が押し寄せる可能性があります。
津波の到達時間はおよそ30分から50分と試算されています。
鹿児島市でも最大4メートルの津波が到達する想定です。
さらに県内全域の浸水被害では
▼30センチ以上が6250ヘクタール、
▼5メートル以上も390ヘクタールに及ぶということです。
県内の市町村での最大震度は6弱から4と推定され、
▼震度6弱が鹿屋市や霧島市など10市町
▼震度5強が鹿児島市や日置市など13市町
▼震度5弱が枕崎市や屋久島町など6市町
▼震度4が三島村となっています。
また死者数の想定では
▼津波からの避難意識が低い場合は最大でおよそ1400人に上る一方で、
▼津波からの避難意識が高く呼びかけもあった場合は10人程度にとどまると試算しています。
国の検討会は一人一人が住宅の耐震化や迅速な避難行動に取り組むよう呼びかけています。
新たな被害想定の公表を専門家はどう見ているのでしょうか。地震地質学などが専門の鹿児島大学・井村隆介准教授に聞きました。
【鹿児島大学 井村隆介准教授】
「避難計画や避難所の運営の色んな計画を立てるうえで何にも想定なしにすることはできないだろうから10年に一回ぐらいこのように見直すことはとても大事なことだと思います」
被害想定の見直しは避難計画の精度を高める上でも重要としつつ、被害の大きさは行動次第だと強調します。
【鹿児島大学 井村隆介准教授】
「人の行動だとか人がど動くかによって変わってくるものなんですよ。最悪何人亡くなるとか何棟燃えるとか数字に一喜一憂するんですが、僕この数字にはあんまり意味がないと思っています」
いざという時いかに迅速に避難し、必要な備えを整えるか?平時から改めて備えるきっかけにすべきと指摘します。
【鹿児島大学 井村隆介准教授】
「自然は仲良しこよしではないので地震や津波が起きたら死者が出るということをちゃんと理解することが大事なんだと思います。その1人にならないこと。自分自身にとっても家族にとっても大事なことだと思いますね。自分はどうしたらいいのかを見直すきっかけにして頂きたいなと思います」