ノンフィクション大賞に『極夜行』

 ヤフーが運営するインターネットニュース配信サービス「Yahoo!ニュース」と書店員自身による「面白かった」「お客様に勧めたい」と思った本への投票で決定する「本屋大賞」が連携して、今年から新設された『Yahoo!ニュース 本屋大賞2018年ノンフィクション本大賞』の発表が8日、同社内で行われた。大賞には角幡唯介氏の『極夜行』(文藝春秋)が選出された。お笑いコンビ・髭男爵の山田ルイ53世が“一発屋芸人"たちを対象に取材を行った『一発屋芸人列伝』(新潮社)は、ノミネート10作品に選ばれたが、大賞を逃した。

【画像】本屋大賞2018年ノンフィクション本大賞』を受賞した『極夜行』

 2017年7月1日から2018年6月30日の間に、日本語で出版されているノンフィクション作品全般(※海外作品の翻訳本は除く)を対象に、今年7月10日より一次選考を開始。約100人の書店員の投票によるノミネート10作品の中から二次選考を経て、この日の大賞発表にいたった。

 受賞のスピーチで、角幡氏は「この大賞ができたと知って、ちょっと違和感じゃないですけど、唐突な感じがしました。ノンフィクションってはっきり言って斜陽産業ですから」とぶっちゃけ。「今は何かを知るということに対しての錯覚というか、価値が置き去りにされてきている気がします。ネットを開いて、検索すればそれなりの答えが返ってきますが、情報や事実っていうのは、ものすごく労力がかかっている。ネットは結果でしかないので、その情報を手に入れるために、リスクや労力がかかるんだということへの想像力がなくなっている気がします」と指摘した。

 最近の話題にも触れ「安田(純平)さんがシリアで解放されて、自己責任論ということで糾弾されています。『危険を冒してまで、事実を調べにいく必要ないんじゃないの。普通に生活できたら困らないじゃん』という感覚になっていると思うんですけど、それだと困る。明らかにされなかった事実はないと同じですから」と力説。「発掘されなくて死んでしまう人がたくさん世界にいる。誰かがリスクを冒して、事実を発掘しないと暗黒世界になってしまう。ノンフィクションは、何かを知るっていうのはどういうことなのかを改めて世に問うことだと思う」と呼びかけていた。

 大賞を受賞した『極夜行』は、冬の北極を舞台に、太陽が昇らない極夜を4ヶ月冒険した様子を描いた作品。特異な環境下で感じた不安や絶望とは何なのか。巧みな構成と文章表現で読者を現場へと誘う。大賞に輝いた角幡氏には、副賞として取材支援費の100万円が贈られた。

■『Yahoo!ニュース 本屋大賞2018年ノンフィクション本大賞』ノミネート10作品(作品名五十音順)
『一発屋芸人列伝』(山田ルイ53世、新潮社)
『軌道 福知山線脱線事故 JR西日本を変えた闘い』(松本創、東洋経済新報社)
『極夜行』(角幡唯介、文藝春秋)
『告白 あるPKO隊員の死・23年目の真実』(旗手啓介、講談社)
『日航123便墜落の新事実 目撃証言から真相に迫る』(青山透子、河出書房新社)
『ノモレ』(国分拓、新潮社)
『Black Box ブラックボックス』(伊藤詩織、文藝春秋)
『モンテレッジォ小さな村の旅する本屋の物語』(内田洋子、方丈社)
『ユニクロ潜入一年』(横田増生、文藝春秋)
『43回の殺意 川崎中1男子生徒殺害事件の深層』(石井光太、双葉社)

(提供:オリコン) 11月8日 14時11分配信

大賞を受賞した『極夜行』の作者・角幡唯介氏 (C)ORICON NewS inc.

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