KKB鹿児島放送の番組審議会は、志學館大学教授の原口泉さんを委員長に県内の有識者9人で構成され、放送番組の向上と適正化を目指して意見を交わしています。
今回は、「地上波テレビに求められる災害・気象報道のあり方」について審議しました。主な内容は次のとおりです。
審議課題「地上波テレビに求められる災害・気象報道のあり方」
- 異常気象等による災害がどこでも発生する恐れがあり、災害・気象報道の重要度が増している。即時性、視聴覚による訴求効果、リアリティの共有等のテレビの持つメリットを災害・気象報道でもさらに活かしてほしい。
- 災害時や危機切迫時は、普段親しみのあるテレビによる繰り返しの情報発信や呼びかけが最も効果が期待でき、避難行動を促すうえで重要な役割を果たしている。
- L字での情報提供に加えて、ネットとの連携など時代をとらえた対応が加速化しているように感じるが、技術の向上に加えて伝える側の知識のレベルアップとスペシャリストの育成、連携が求められると思う。
- 住民の命を守ることが第一で、防災・減災につなげる役割は大きな柱だと思う。
- 住民の命や暮らしを守るという部分では行政とメディアが同じ方向を向いているので、協力関係、信頼関係を築いていく姿勢が大事だと思う。
- 支援物資の報道では、必要な物を必要な場所に迅速に届けるためにも行政との連携は必要不可欠。
- SNS等の情報の活用にあたっては、信頼性の担保は必要だ。
- 高齢者や障害者、外国人への対応や被災地での報道取材による二次被害を生まない対応のあり方も考えてほしい。
- 発災直後の被害や救助活動だけでなく、その後の復旧や復興の過程も大事で、継続的に報道していく必要があると思う。
- 過去の災害を振り返る啓発番組では、公助頼みだと手遅れになることなどもあり、まずは自分の身は自分で守るという自助の観点、精神が基本だということを強調してほしい。
- 亡くなった方の行動や判断も報道されると教訓になるのではないかと思う。
- 緊急放送では危機感が伝わるような伝え方が求められる。場合によっては「テレビを今すぐ消して逃げてください」とアナウンスすることも必要だと思う。
- 災害の切迫時や発災時は、テレビは実況中継のイメージで、過去の災害情報を事前に用意して国などからのリアルタイム情報を使って刻々と移ってゆく変化を解説すれば、圧倒的なわかりやすさと避難につながるのではないか。
- 気象情報については、「当たらない」という印象を持っている人もいるので、引き続き予報の精度を向上させる取り組みをしてほしい。
- 地理・地学が防災には非常に重要だと思うので、災害・気象報道に3Dの地理・地図情報をもっと活用した方が良いと思う。
- 民放とNHKが連携することも重要で、そのための事前の協議も必要ではないか。また得た情報や映像の共有化、情報の正確性や緊急性を迅速に検証・判断するためのガイドラインも必要だと思う。