俳優の平泉成(80)が『第49回報知映画賞』で特別賞を受賞し、16日に都内で行われた表彰式に登壇した。
【写真】かっこいい!ブラックスーツでビシッと登場した佐野晶哉
平泉は、あるた梨沙氏による同名漫画を実写化した初主演映画『明日を綴る写真館』の演技と長年の映画界への貢献が評価され、同賞を受賞。審査員からは「100歳まで映画界・テレビ界で活躍されていただき、95歳ぐらいで主演男優賞獲ってください」とエールを送られた。
そして、鮫島武治(平泉)に弟子入りを志願する気鋭の若手カメラマン・五十嵐太一を演じた佐野晶哉(Aぇ! group)がプレゼンターとしてサプライズで登場。平泉と固く握手を交わした。
佐野は「この度は本当に受賞おめでとうございます」と深々と一礼。「『俳優人生60年、こんなに長く芝居を続けていたらこんなにうれしいことあるんだ。80歳にして夢がかなう、こんな職業ほかにはない、こんなにすてきな仕事ないぞ』って57個下の僕に熱く語ってくれたのをすごく鮮明に覚えています。撮影が終わってから、成さんがワインを飲みながら、『ずっとスクリーンの端っこで脇役で生きてきた俺が今回はど真ん中にずっと映っていて、こんな映画がたくさんの人、見に来てくれるんかな、愛してくれるのかな』と不安そうなことをすごく自信満々な顔で語っていたことを覚えています」とユーモアを交えながらしみじみ。「もちろん僕にとっても大好きな大切な作品です」と愛を込め、「DVDが出るので、成さんの初主演のお芝居が詰まっていますので、ぜひぜひ見てください」とアピール。「本当におめでとうございます」と祝福した、
佐野の話に感激の表情を浮かべていた平泉は「ながーいことやってきましたが、このような賞をいただくのは本当に初めてです」としみじみ。「土のついた根菜のような役者になりたいと思ってずっとやってきました。ピカピカ光るところは似合わない、土がついているのは土がついた方が長持ちだからです。そうして60年やってきました。長く続けることはいいこともあるんですね」と語り、「主人公のキャメラマンがいろんな方と出会う普通のお話なんですが、映画を見ていると胸がいっぱいになって温かい気持ちになってそんな名作ができました。本当にうれしかったです」と喜びをかみしめた。
監督、スタッフ、佐野、審査員に感謝を伝えた平泉は「忘れてはいけないのがうちのかみさん。本当に長いことありがとう。やっと夢のようなことが起こりました。君には本当に感謝しています」とあふれる思いを伝え、「もらえないと思っていた映画賞をいただくことができました。本当にうれしいです。私はまだ80歳です。やり残したことはたくさんあります。まだまだ頑張らんといかんですね。これからもしっかり頑張っていきます」と力強く宣言した。
今作で平泉は、自身の趣味である写真撮影ともリンクするカメラマンとして、さびれた写真館を営む鮫島武治を演じる。
同賞は、スポーツ新聞が単独開催する初の映画賞として、1976年に誕生した。2023年12月1日から2024年11月30日までに国内で1週間以上、一般公開、もしくは公開予定の新作。新人賞は原則として3年以内に本格デビューした俳優、監督となる。
主演男優賞は『正体』の演技が評価された横浜流星が昨年に続き受賞。主演女優賞は『ミッシング』の演技が評価された石原さとみが初受賞した。作品賞・邦画部門は横浜が主演した藤井道人監督の『正体』が受賞した。各賞の受賞者・受賞作品は以下のとおり。
■受賞一覧
作品賞・邦画部門:『正体』
作品賞・海外部門:『シビル・ウォー アメリカ最後の日』
アニメ作品賞 :『ルックバック』
主演男優賞:横浜流星(『正体』の演技に対して)
主演女優賞:石原さとみ(『ミッシング』の演技に対して)
助演男優賞: 奥田瑛二(『かくしごと』の演技に対して)
助演女優賞:吉岡里帆(『正体』の演技に対して)
監督賞: 塚原あゆ子(『ラストマイル』の演出に対して)
新人賞: 越山敬達(『ぼくのお日さま』の演技に対して)
新人賞:中西希亜良 (『ぼくのお日さま』の演技に対して)
特別賞:平泉成(『明日を綴る写真館』の演技と長年の映画界への貢献に対して)
特別賞:草笛光子(『九十歳。何がめでたい』の演技と長年の映画界への貢献に対して)
■選考委員
荒木久文(映画評論家)、木村直子(読売新聞文化部映画担当)、見城徹(幻冬舎代表取締役社長)、藤田晋(サイバーエージェント代表取締役)、松本志のぶ(フリーアナウンサー)、YOU(タレント)、LiLiCo(映画コメンテーター)、渡辺祥子(映画評論家)の各氏(敬称略、五十音順)と報知新聞映画担当。
(提供:オリコン)
12月16日 16時00分配信